Silent Line

東風Pの旅m@s「Silent Line」がいい。



多忙な日常に疲れた千早がつぶやいた、
「旅にでも出て、静かな場所へ行きたいな……。」
という一言からはじまる物語。



家に帰って床に就いた筈が、気が付くと周りは見知らぬ風景に。
どうやら夢の中らしく、廃線、今ではもう使われなくなった線路を眺めながら歩く千早。鉄道に興味のある人にとっては観光名所となろうが、歌一筋でやってきた千早にはもの珍しいオブジェとしか映らない。ここがこの旅m@sの面白いところ。書籍やテレビで得た情報を元に名所巡りをするのではなく、全く知識がない状態で初めて出会った造形に対し、感情を純粋に言葉にしていく様がいい。





古来、歌とはこういうものであったのではとも思う。何気ない事象に情緒を見出したものが和歌であり、俳句だったような。(国語は捨て教科だったので自信ないですが…)そう考えると、好奇の目でいろいろなものを発見していく千早の感受性の高さに、彼女が歌姫たる由縁を結び付けているようにも見える。
またこの作品は「音」が重要なテーマとなっており、これも旅人が千早である理由のひとつなんだろな。





私事なんですが、自分、今年の春に引越ししたんですよね。
川沿いのアパート紹介してもらって、即日で契約しました。
街中に居た頃は、こういうプチ感動を見つけることが出来なかったんだけど
川のそばに住んでると、朝にカモメが飛んでたり、夜は街灯が川面に揺れてたりと、小さなイベントがチョロチョロとあって、「おーー」と、唸ったりしてます。
そんな事もあったんで、この作品にはなんか共感みたいなものを感じてしまいました。


それにしてもいい画だ。


それでは、また。